マギーズ・キャンサーケアリング・センター
がんは日本人の死因の第1位であり、今や誰もが罹患しうるとても身近な病気です。
自分や家族が医師から突然、病状を伝えられ混乱しているとき、あるいは治療中であっても、
心穏やかに自分を取り戻すための場所、そこは病院の中ではなく、家との中間にある第3の居場所があれば、どれほど心強く癒されることでしょう。
がん患者や家族、友人など、がんに関係する人々を無償で支援する場所が、英国で1996年に誕生した『マギーズ・キャンサーケアリング・センター』です。
マギーズセンター 創設者マギー・K・ジェンクス(造園家)は1988年47歳で乳がんと診断され、その5年後に再発、余命数ヶ月との宣告に衝撃を受けました。
「心は打ちのめされているのに、次の患者のために診察室にとどまることができませんでした」
と著書のなかで振り返っています。
彼女はがんをめぐる厳しい現実を受け入れ、自分らしく生きるための助けとして
「治療中でも、患者ではなく一人の人間でいられる場所と、友人のような道案内がほしい」
と切実に願い、担当のがん専門看護師、建築評論家でもある夫の協力を得て、その思いを形にするべく立ち上がりました。そして、空間デザインの専門家でもあるマギーがイメージしたのは、不安やとまどいのなかにいる人の心を自然にやわらげるスペース、「美術館のように魅力的であり、教会のようにじっくり考えるこができ、病院のように安心でき、家のように帰ってきたいと思える場所」
このコンセプトを実現するためにマギーズは具体的な10の建築概要が満たされるように提案されています。
・自然光が入って明るい
・空間はオープンである
・オーブンキッチンがある
・暖炉がある、水槽がある
・建築面積280㎡程度・安全な(中)庭がある
・執務室からすべてが見える・セラピー用の個室がある
・ゆったりとしたトイレがある
・建築デザインは自由
1996年、英国エジンバラに完成したマギーズ | 明るい色使いで楽しい雰囲気の内装 |
世界に広がるマギーズ
完成の前年1995年、54歳でマギーは旅立ちましたがその遺志は受け継がれ、英国23か所だけでなく香港、日本(東京)、スペインでも開設されており、国内ではマギーズ神戸が予定されています。
自分をとり戻す場所 マギーズ東京
誰でもがんと向き合うのはこわいし、とまどい、落ち込むこともあります。
そんな時に癒しの空間でゆったりとお茶をのみながら、まるで友人のように看護師や心理士が寄り添い話を聞いてくれたら、自分を少し客観的にみることができるようになるかもしれません。
「I am a cancer」 ではなく 「I have a cancer」、
がんは自分のほんの一部なんだと対話のなかで思い出させてくれ、自分をとり戻していく支援の場所がマギーズ東京です。
2016年に誕生した日本第1号マギーズ |
マギーズ東京ではオンラインでの見学会のほか、様々な取り組みも行われています。