《 血栓症と脂肪 》
最近特に注目されているのが脂肪酸です。
北極圏で生活するイヌイットには心筋梗塞など血栓症が顕著に少ないことは以前から知られています。彼らが食する魚やアザラシには、EPAやDHAと呼ばれるω-3系脂肪酸が豊富に含まれています。
中でもEPAには抗血小板作用があり、血液をサラサラにしてくれます。実際、血栓症の1次予防(今は発病していないが将来の発病を予防することが1次予防)にω-3系脂肪酸が有効であることはレベル1(最高レベル)のエビデンスがあります。
ちなみに、サプリメントではDHAをネーミングに用いている商品を多く見受けます。
DHAには血栓症予防効果はありませんが、DHAの方がEPAよりも知名度が高く、
販売しやすいことが理由のようです。
《 血中脂肪酸 》
コレステロールや中性脂肪は、脳梗塞や心筋梗塞などの血栓症のリスクファクターとして
健診やドックで測定され、一般の方々にもよく知られています。
では、ご自分の脂肪酸を検査されたことはありますか?
脂肪酸に目を向けている医師は増えてきていますが、まだまだ一般的とは言えない現状です。
保険診療で認められている検査項目に、「脂肪酸分画」があります。
文字通り脂肪酸の状態をチェックする検査です。中でも、陸上動物に多いAA(アラキドン酸)とEPAの比率は血栓症のリスクチェックに有用です。
最近の日本人では、EPA/AA比が0.5を超える方は少なく、中には0.1以下の方も珍しくありません。EPA製剤は保険診療で認められています。血栓症の予防には、EPA/AA比は0.7~1.2程度が最適です。
日本人の3人に1人が発症すると言われる血栓症、家系的に血栓症リスクの高い方は是非一度「脂肪酸4分画」を測定してみてください。