スマートフォン、パソコンはいまや暮らしの必需品となり、家庭内を見わたせば台所用品、テレビ、エアコン、お掃除ロボ、ゲーム機等々、電化製品、電子機器がいたるところに使われていることに気づきます。
また、より便利な機能の付いた新製品が次々に登場して買い替えサイクルも短くなることで大量の電子ゴミ(E-waste)が世界中で発生しており、国連は世界の消費者に対し、電子機器の大量廃棄が「環境大災害」を引き起こしていると警告しました。
E-wastesってなに?
電子ゴミ(E-waste)は、バッテリーや電気、電子回路を搭載した電気製品や電子機器が廃棄物となった時の総称です。
E-waste2つの特徴
①製品に鉛や水銀などの有毒な化学物質が含まれていることが多い
②人工では作り出すことのできない貴重な金属が含まれている
(金・銀・銅だけでなく、電気自動車に欠かせないリチウム、コバルトなどのレアメタルも含む)
2022年に発生したE-wastesは6200万トン
2019年には、世界で発生したE-wasteは5,360万トン。その内訳はアジア地域が最も多く2,490万トン、次いでアメリカ大陸が1,310万トン、欧州で1,200万トン、アフリカとオセアニアはそれぞれ290万トン、70万トンでした。(国連大学ホームページより)
国連のグローバルE-wasteモニターは、2022年に発生したE-wasteは6200万トンに達したと報告し、さらに2030年までには7,470万トンに膨れ上がり、わずか16年で倍増すると予測されています。
リサイクル率は図のとおり、欧州の42.5%がトップで各地の値はとても低くなっているのが現状です。
E-wastesがおよぼす環境と健康への悪影響
電子ゴミは多様な有害物質が含まれていることから適正な処理がなされなければ、環境や健康への悪影響を及ぼします。
しかしそうした適正な処理設備も技術もない発展途上国に電子ゴミは大量に輸出されており、焼却や埋め立てなど不適切な処理により、ダイオキシンの発生や大気汚染といった環境問題が発生しています。
なかでも深刻なのが健康への悪影響です。
電子ゴミには鉛、水銀、カドミウムなどの有毒物質が含まれていることがあり、汚染された空気を吸い続けることで呼吸器疾患やガン、妊娠中の死産、早産、生まれてきた子どもに先天的なダメージを及ぼすなどが考えられます。
途上国では人件費の安い児童が処理作業の担い手となっており、電子ゴミを焼き、その煙を吸い、素手で有用金属を取り出すといった危険な作業を日常的に行っています。
5Rとは?
私たちが環境問題を解決するために重要な3R(Recycle Reduce Reuse )はよく知られています。
さらにRepair(修理して大切に使う、)Refuse(削減・本当にそれが必要かどうかを考える)の2つを加えたのが5Rです。
私たちが捨てたE-wasteが大きな環境問題や途上国の人々(子ども達)の健康を害しているという事実を知ること、
電子機器を購入する時には本当に必要?廃棄はどうする?まで考える、
有用な金属をリサイクルするために使わなくなった小型家電は回収に協力するなど、
E-wasteの適切な処理に真剣に向き合う意識、行動を心がけたいものですね。
2019年の世界の電子ゴミのうち回収されリサイクルの対象となった割合はわずか17.4%でした。
「不要のパソコン等を無料で引き取ります」の広告は無許可業者の場合もあり、不法投棄など行われている場合もあるのでお気をつけ下さい。
国連大学ウェブマガジン
https://ourworld.unu.edu/jp/global-electronic-waste-up-21-in-five-years-and-recycling-isnt-keeping-up
経済産業省 家電4品目の「正しい処分」早わかり
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/kaden_recycle/fukyu_special/index.html