Q:貧血にはどんな種類がありますか。
A:貧血の中で最も多いのが鉄欠乏性貧血です。成人女性の約10%がこの貧血で、約40%が鉄欠乏状態にある予備軍といわれています。ただ実際には、生理のある日本女性の8割は潜在性鉄欠乏があるようです。
他には難病の再生不良性貧血、赤血球がこわれやすい溶血性貧血、ビタミンB12の欠乏による悪性貧血や病気が原因でおこる二次性貧血などがあります。
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Q:鉄欠乏性貧血とはどんな病気ですか。
A:赤血球の中にヘモグロビンが含まれていて、その材料である鉄分が不足しておきます。ヘモグロビンは酸素と結合して、肺から体中に酸素を運びます。これが少なくなると末梢組織で酸素不足となりいろいろな問題がおこります。
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Q:どんな症状がでますか。
A:顔色が悪い、めまい、立ちくらみ、体がだるく疲れやすい、息切れ、動悸、耳鳴りがする、頭痛、不安、食欲不振などがあります。 また、うつなどの精神症状をともなう場合もあります。
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Q:考えられる原因はなんでしょうか。
A:女性の場合、まず生理により毎月出血していることです。子宮筋腫や子宮内膜症などで生理が増えると鉄欠乏は容易におこります。
少量でも長く続く不正出血も要注意。他に消化管の潰瘍による出血、痔の出血、大腸がんによる出血が原因となっていることもあります。
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Q:どんなときに鉄欠乏性貧血になりやすいですか。
A:成長期や妊娠、出産、授乳期には特に鉄の需要が増えて不足がちになります。また、無理なダイエットによる栄養不足や偏食で鉄の吸収がうまくいかないなどがあります。
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Q:どんな治療法がありますか。
A:血液検査をして貧血の種類を特定します。貧血の原因となる病気がある場合はその治療を行います。
鉄欠乏性貧血の場合、基本は食事療法と鉄剤の服用です。鉄剤を3ヶ月程飲み、再検査をして症状の回復をみます。
ただし、生理が多い方では、1時的に貧血が改善しても鉄剤を中止すると元の状態にもどってしまいます。改善後は鉄剤の量を減らしても、完全には止めないでください。
(例えば、生理の後1週間だけ鉄剤を服用する)
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Q:普段の生活ではどんなことに気をつければいいですか。
A:まず、意識して鉄分の多い食品を摂るように気をつけます。バランスのよい食事は貧血にかかわらず健康の基本ですので心がけてください。
女性は貧血に気づかない方が多くいます。その背後に原因となる大きな病気が隠れていることもあるので、貧血ぐらいと軽く考えるのは禁物です。いったん症状 が治っても、再発しやすいのと体内の蓄えを補充するために、薬の服用は途中でやめないこと。検診などで定期的にチェックしてみてください。
鉄分を多く含む食材
レバー、牛肉、豚肉、鯖、いわし、うなぎ、牡蠣、煮干し、海藻類や貝類、小松菜、ほうれんそう、大豆、高野どうふ、干ぶどうなど
食品に含まれる鉄分には、魚や肉に含まれる「ヘム鉄」と野菜や穀類に含まれる「非ヘム鉄」があります。ヘム鉄は非ヘム鉄に比べ吸収がよいので、まずヘム鉄を十分に摂ることを心がけましょう。
●あさりのワイン蒸し ●いわしのチーズ焼き ●豚レバーの青シソフライ
非ヘム鉄は動物性のタンパク質やビタミンCとうまく組み合わせて。
●小松菜と豚の炒め物 ●高野どうふの卵とじ ●トマトとわかめのサラダ
酢や香辛料は胃粘膜を刺激して胃酸の分泌を高めて鉄分の吸収をよくしてくれます。
●ひじきの酢の物 ●ほうれんそうのナムル