◆タンポポは戦略物資?
皆さんは“戦略物資”という言葉を聞いたことがありますか。
国が安全保障を維持するための重要な物資や資源のことで、通常は平和利用されていても、使い方によっては武器や兵器になる可能性のあるもの。
例えば石油やレアメタル、食料、半導体、そして近い将来にはタンポポも…?
はて??“タンポポ”??
でも、近所に咲いているタンポポが全て未来の戦略物資になるわけではありません。
カザフスタンやウズベキスタンなどに自生するロシアンタンポポが天然ゴム資源の代替植物として注目されているのです。
◆ソ連もナチスドイツもタンポポの研究をしていた
第2次世界大戦頃にソビエト連邦、ナチスドイツ、アメリカ合衆国がタンポポを研究していた時代がありました。
その理由は、戦闘機、軍用車両、戦車まで使われる天然ゴム資源が東南アジアの国々に依存していて、その多くはイギリス領やフランス領で、戦争が起これば供給は途絶えてしまうからです。
◆日本企業も“ロシアンタンポポ”の実用化に向けて研究開発中
現在でも天然ゴム資源の生産は、タイやインドネシア、マレーシアなどの東南アジアの熱帯地域に集中しています。この一極集中はリスクが大きく、植物の疫病や悪天候の影響も心配されます。
そこで日本でもブリジストン(2012年-)や住友ゴム(2015年-)が米ベンチャー企業と共同でロシアンタンポポ由来の天然ゴムの実用化に向けた研究が進められています。
ロシアンタンポポは広大な温帯地域で生育可能で、栽培サイクルがパラゴムノキが20年から25年と長期にかかるのに対し、1、2年で収穫ができるのが利点のようです。
近い将来、タンポポは重要な天然ゴム供給源のひとつになるかもしれせんね。
写真:住友ゴム工業出典のロシアンタンポポ