子宮組織の大半は平滑筋です。この平滑筋が増殖し腫瘍化したものが”子宮筋腫”で、30才以上の女性の約30%に見つかる頻度の高い疾患です。子宮筋腫は 女性ホルモン(エストロゲン)に反応し、ホルモン分泌の活発な女性や妊娠中には増大しますが、更年期になると縮小します。
子宮筋腫は良性の腫瘍ですから、大きさにもよりますが自覚症状や臨床症状が軽ければ必ずしも治療する必要はありません。
子宮肉腫は悪性度の非常に強い疾患で、ごく稀にしか発症しませんが子宮筋腫との鑑別が困難です。確定診断は、手術後の組織検査によります。
子宮筋腫と診断されても、腫瘤が急に増大しないことを確かめておきましょう。
自覚症状
- 下腹部痛・生理痛
- 過多月経・それに伴う貧血
- 不正出血
- 頻尿・尿閉・便秘など
検査方法
- エコー検査(超音波検査)
- MRI検査
確定診断は手術後、摘出標本の組織検査によります。
子宮筋腫の治療法について
1.対症療法
鎮痛剤で生理痛を抑えたり、貧血に鉄剤を投与したり、症状を抑える治療法で子宮筋腫そのものは放置します。
2.女性ホルモン(エストロゲン)を抑制する薬物療法
Gn-RH療法
人工的に更年期のホルモン状態をつくり、一時的に子宮筋腫を縮小させるもので根治治療ではありません。筋肉注射(1ヶ月に1回)と点鼻薬(1日に2〜3回)があります。
ピル
低用量ピルを使用すると、自然な状態よりも女性ホルモンが少なくなるため生理も軽くなり、子宮筋腫が改善したり、進行を遅らせたりします。
3.手術療法
子宮全体を切除する子宮全摘術と筋腫だけを切除する筋腫核出術があります。また、全摘術には開腹手術と膣式手術があります。
筋腫核出術は、腹腔鏡手術が主流になっています。
4.その他の治療法
子宮動脈塞栓術(UAE)
子宮動脈を人工的に閉塞して筋腫を縮小します。
卵巣機能不全をおこすケースもあるため、妊娠を希望される方にはおすすめできません。
超音波収束法(FUS)
強い超音波を体外から子宮にあてて筋腫を縮小します。
妊娠を希望される方にはおすすめできません。
治療上最も大切なことは、妊娠の可能性や年令、閉経までの期間など、その人の状況に応じた治療法を選択することです。