私はSF映画が好きです。今までみたSF映画でベスト3をあげると、「エイリアン」「ジュラシックパーク」「ターミネーター」でしょうか。
ジュラシックパークでは、琥珀の中に閉じ込められた蚊から、太古の恐竜の血液のDNAを抽出し、遺伝子技術で恐竜を再生しています。ところで、ジュラ シックパークの続編をご覧になりましたか。ジュラシックパークではメスの恐竜のみを放牧し繁殖をコントロールしていたのですが、ジュラシックパーク2では このコントロールを破って島内で自然繁殖がおこってしまうというシーンがあります。このシーンを回想する度に、「自然の力をなめてはいけない」という言葉 がとても印象的です。近年、セイダカアワダチソウやブラックバスなど外来種による生態系の破壊が問題になっていますが、ジュラシックパークの自然繁殖が現 実となっている遺伝子組換え作物の現状は、さらなる脅威といえます。
実際、遺伝子組換え作物の生産大国アメリカでは、ダイズやトウモロコシで自然交配による通常作物の種子汚染が深刻な状況ですが、日本でも本来作付けはさ れていない遺伝子組換え作物の自然界での自生が報告されています。これらは、穀物の輸入港近くで見つかっており、トラックで輸送中にこぼれた種子が自生し たものと推測されます。例えば、アブラナ科のナタネは同科の白菜などと交配する可能性があり、近い将来(あるいは現在すでに)、誰も気づかない間に交配が 起こることは時間の問題かと考えます。
除草剤耐性作物や殺虫作物が自然界に自生することは、新たな脅威となります。抗生物質耐性菌が医療の現場で問題になっていることは周知のとおりですが、 同様の問題が遺伝子組換え植物にも潜んでいるのです。例えば、その土地の植物が遺伝子組換え植物との自然交配によって新たな性質を獲得し、もしその性質が 殺虫性と同様に人体にも有害であったとしても、除草剤耐性形質を持っているため容易には排除できない可能性などです。これらは仮定の話ではなく、阪神大震 災のごとく実際に起こる現実問題と私は思っています。
今回はちょっと難しい話題になってしまいましたが、遺伝子組換え作物に関連してアレルギー疾患の増加や、子どもたちの脳への影響を懸念する声が少数ながら報告されつつある現状をふまえ、大自然の芸術といえる遺伝子の人為的操作は早急に見直す必要を感じます。