15.子宮筋腫

Q:子宮筋腫とはどんな病気でしょうか?
A:子宮の壁は妊娠すると赤ちゃんの成長とともに大きくなり、分娩の時には赤ちゃんを産道へと導くはたらきをします。このように、子宮の組織は大きく伸び たり縮んだりできる平滑筋と呼ばれる筋肉でできています。その平滑筋の細胞が増殖してコブのようなかたまりになったものが子宮筋腫で良性腫瘍の一種です。

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Q:どんな年代に発症するのでしょうか。
A:女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が活発な30〜40歳代の女性に多く発症し、30歳以上の3人に一人は筋腫をもっていると言われています。更年期以降になると自然と縮小します。

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Q:筋腫はどんな場所にできますか。
A:子宮の筋肉内にできる筋層内筋腫がもっとも多く、他に、子宮の内側の粘膜にできるものや子宮の外側に向かって突出するようにできるものもあります。茎をもった有茎粘膜筋腫は子宮から押し出されることもあり、筋腫分娩と呼ばれます。

筋腫の大きさは大豆大のもから大人の頭大のものまで、数も1個だけの場合と、同時にいくつもできる場合があり、個人差があります。

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Q:自覚症状はありますか。
もっとも多いのはレバーのような血のかたまりが出たり、出血量が増えるなど生理の変化です。生理が長引く、不正出血がある、生理の時に動悸やめまい、疲れやすいなどの貧血症状があれば子宮筋腫の疑いがあります。

また、筋腫が大きくなると生理痛、下腹部痛が強くなります。まわりの臓器に影響を与えることもあり、頻尿、逆に尿が出にくくなったり、便秘や腰痛をおこすこともあります。

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Q:どんな治療をしますか。
A:超音波検査で診断します。子宮筋腫は良性の腫瘍ですから大きさにもよりますが自覚症状や臨床症状が軽く、日常生活に支障がなければ必ずしも治療する必要はありません。対症療法として鎮痛剤で生理痛を抑えたり、貧血に鉄剤を投与し不快症状を改善し、経過をみます。

女性ホルモンの分泌を抑制する物質を鼻から吸入したり(1日2〜3回)筋肉注射(1ヶ月1回)をして人工的に更年期のホルモン状態をつくり、一時的に子宮筋腫を縮小させる方法もありますが根治療法ではありません。
最近では、低容量ピルを使用して筋腫の発育を遅らせる方法が薬物療法の主流です。

手術療法は子宮全体を切除する全摘術と筋腫だけを切除する筋腫核出術があります。

治療上もっとも大切なことは、妊娠の可能性や年齢、閉経までの期間などライフスタイルに応じた治療法を選ぶことです。

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Q:どんなことに気をつければいいですか。
A:子宮筋腫は良性腫瘍ですが、急激に増大する場合は悪性腫瘍(子宮肉腫)も考えられます。経過を確認するためにも医師の指示する期間ごとに定期検診を必ず受けてください。

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