21.過敏性腸症候群

Q:どんな病気ですか。
A:腸に形態的な異常がないにもかかわらず、ストレスが原因で結腸に異常が起こる疾患です。頻繁に便意をもよおし下痢、便秘、ガス過多などの症状があらわれます。
ホルモンバランスが崩れやすい季節の変わり目、特に春から夏にかけて症状がでやすくなります。

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Q:どんな症状がでますか。
A:下痢型の人は腹痛を伴う慢性の下痢が続き、食事ごとに下痢を発生するのが一般的です。しかし、血便や下痢による体重の減少はあまりみられません。
便秘型の場合、便意があっても便がでにくく、粘液だけが出たり、ウサギの糞のようにコロコロした便(けいれん性便秘)が出ます。
ほかに、ガスがたまっておなかが張った感じやガスがでやすい、おなかが鳴るといった症状もみられます。
一般的に下痢型は男性に、便秘型は女性や50代以降の方にみられます。下痢と便秘を繰り返す交替型も多くみられるのが特徴です。
また、頭痛、疲労感、動悸、発汗などの自律神経失調症の症状、不安や抑うつ感などの精神症状を多く伴います。

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Q:どんな要因が考えられますか。
A:月曜日の朝や仕事の前など不安や緊張感がストレスとなって腸管の運動異常を誘発すると考えられています。
自律神経は交感神経と副交感神経からなりたっています。通常、交感神経は腸の運動を抑制し、副交感神経は促進させます。ところが、ストレスがかかるとこのバランスが崩れ、症状となって現れます。
また、几帳面、心配性、神経質など性格的な要因も大きく影響します。通勤や通学途中で、腹痛や失敗を経験すると、その記憶が強烈に心に残り、その事への心配がストレスとなりネガティブな循環を繰り返してしまいます。

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Q:どんな検査をしますか。
A:腹痛を伴う便通異常を長期間繰り返したり、体重の減少がある時には、おなかが弱い、気のせいと簡単に自分で判断せずに専門医への受診をおすすめします。
これは腸管に潰瘍やがん、ポリープ、炎症があるといった器質的な疾患によっても下痢と便秘は繰り返すことがあるためです。まず、こうした病気がないか検査をする必要があります。検査法は注腸検査、内視鏡カメラ検査、便検査、血液検査などがあります。

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Q:どこへ相談すればいいのでしょうか。また、治療法は?
A:内科、消化器の専門医で器質的問題がないか検査をします。
治療の基本は生活習慣の見直しと改善です。
規則正しいリズムで生活をしているか、食事が外食やインスタント食品などに偏っていないかなどをチェックしてみます。
さらに、どんな環境や行動の変化が便通の異常に影響しているのかストレスの分析をします。
ストレスや症状をやわらげるために、自己暗示療法(「トイレは朝食の後にすませたのでだいじょうぶ」など、自分にいい聞かせる)、行動療法といった自律訓練法が有効です。
特別な異常がなく、不安が強い時には心療内科または神経内科を受診しましょう。

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