22.高脂血症

Q:高脂血症とはどんな病気ですか?
A:高脂血症は高血圧や糖尿病とともに代表的な成人病で、血液中の脂質(脂肪)が異常に多い状態をいいます。
脂質として、コレステロール、中性脂肪(トリグリセライド)、リン脂質、脂肪酸などがあります。
高脂血症の中でも特に、中性脂肪が多いタイプや善玉コレステロールが低いタイプは動脈硬化のリスクが高いといわれています。

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Q:日本での発症状況はどうですか。
A:ここ10年間で日本人の中で急激に増えています。実際、日本人の血中コレステロール値は平均で約10mg/dlも上がっています。

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Q:どんな症状がでますか。
A:高脂血症はそれ自体には自覚症状がありません。ところが発症したときには、心筋梗塞や脳梗塞など生命に関わる重篤な症状をいきなり呈します。運よく一 命をとりとめても、四肢の麻痺や、言語の障害、さらには寝たきり状態など、その後の人生の質を大きく変えてしまう後遺症を残します。

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Q:一般に認識されている以上に怖い病気ですね。
A:そうです。検診で高脂血症を指摘してもあまり気にしない方を多くみかけます。
しかし、影響の大きさと頻度を考えると高脂血症は”ガン”に劣らない恐ろしい疾病といえます。

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Q:どんな原因が考えられますか。
A:食生活の欧米化にともなう脂肪摂取量の増加です。日本人の食生活の変化は終戦(昭和20年)以後に始まります。欧米において何世紀も続いてきた食生活 をわずか50年の間で獲得してしまいました。しかし日本人の体質はこの急激な変化に適応しきれていません。遺伝子が欧米の食生活に適応するためには、まだ 何世代か必要でしょう。
他には喫煙、遺伝的な高脂血症の体質、現代の様々なストレスからくる食行動の異常による肥満などが原因となるケースも少なくありません。

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Q:高脂血症において、女性のリスクはありますか。
A:女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下する閉経後より血中コレステロールが上がりやすく、血管系疾患が増加する傾向にあります。

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Q:診断と治療法は?
A:血液検査で診断します。高脂血症の測定項目には

(1) 総コレステロール(T-cho)
(2) 善玉コレステロール(HDL)
(3) 悪玉コレステロール(LDL)
(4) 中性脂肪(TG)

などがあります。総コレステロール値だけでなく、その内訳にも気をつけましょう。
治療の基本は食事・運動療法とコレステロールや中性脂肪を下げる薬物療法です。

総コレステロール・T-Cho(mg/dl)の正常値は220(mg/dl)以下 とされていますが、最近240(mg/dl)以下に修正されそうです。
300(mg/dl)以上ある方は薬物治療が必要です。
善玉コレステロールは、男性よりも女性の方が正常値が約5-10高く、女性で50(mg/dl)以下の方は要注意です。
中性脂肪・TGは150(mg/dl)以下が正常で、TGが高く、善玉コレステロールが低い方は、虚血性疾患のリスクが高いといわれています。

薬物療法は服用開始後数日で効果は現れますが体質そのものは変わりませんから、ある程度長期に服用する覚悟が必要です。
また、更年期女性の高脂血症には女性ホルモンの減少に関わっているため、ホルモン補充療法(HRT)など婦人科的なアプローチも大切です。
医食同源と言われるように根本的な食生活の見直し、生活環境や精神的なケアを配慮した予防医学、代替療法への期待が高まっています。

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