海外におけるサプリメントの臨床応用
変形性膝関節症や変形性股関節症で、日々疼痛に悩まされている方や要介護状態となっている方は多数おられます。日本での変形性関節症の治療法は、鎮痛剤の内服やステロイド剤などの関節内注入に代表される疼痛緩和療法、人工関節置換術や理学療法など様々ですが、サプリメントの臨床応用は軽視されているのが現状です。
ヨーロッパにつづいてアメリカの医学界でも、変形性関節症に対する軟骨修復と再生のための代替療法に、コンドロイチン硫酸とグルコサミンを用いたサプリメントを取り入れている医師が増え、海外での臨床報告は多く存在しています。
関節の構造
変形性関節症や慢性関節リュウマチなどの関節症では、プロテオグリカンが破壊されて関節軟骨の機能喪失がおこっています。プロテオグリカンはたん白質と糖で構成される巨大分子で、軟骨の弾力と伸縮性、さらにスポンジのような水分保持機能を与える重要な成分です。
プロテオグリカンは鳥の羽のような構造で、羽の芯にあたるコアたん白に、多数の糖類が羽毛のように結合します。この糖類がグルコサミノグルカンとよばれ、その主要成分がグルコサミンです。また、グルコサミノグルカンを構成するアミノ糖にはコンドロイチン硫酸やケラタン硫酸、ヒアルロン酸などいくつかの種類があり、羽毛様構造の間に水分を貯留することで関節をみずみずしく保ち関節の弾力性を保持しています。
グルコサミンとコンドロイチン硫酸の効果
グルコサミンとコンドロイチン硫酸は相乗して軟骨の生合成を促進し、同時に軟骨分解酵素を抑制して関節炎を改善、軟骨組織を正常化します。つまり消炎鎮痛剤との大きな違いは、病態の進行を根本的に制御して自然治癒力を発揮させることです。
海外における発表を要約してみると、
- 軟骨細胞におけるプロテオグリカンやグルコサミノグルカン、コラーゲンなどの合成促進
- ヒアルロン酸の合成促進
- 破骨細胞のたん白分解酵素抑制
- 関節内の血液循環改善
などによって、滑膜炎症を抑制して、関節の疼痛を緩和します。